僕はばちばちの「悟り世代」、そしてその「悟り世代」を代表してくれる作家が朝井リョウ!! 大好きな作家で、作品は結構読みましたね。
読んでいて感じるのは、まぁ僕らの世代を上手く捉えているなと。何か妙に冷めてしまっている部分だったり、斜に構えている部分だったり。
そして読んでいて毎回身につまされるのが、悟り世代特有の痛さ!見ていて過去に(というか実際に今も)自分もしていた言動を見て、「痛い・・・」って感じる場面も多々。いやー、痛いっすね、きついっすね。マジでロキソニン処方してほしいレベルです。笑
悟り世代の奴らはこんな感じだって、世に提示してくれたまさにオレらの時代の作家なんです!
朝井リョウは「悟り世代」の代表作家
さて、朝井リョウさんのプロフィールを!
1989(平成元)年、岐阜県生れ。早稲田大学文化構想学部卒業。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2011年『チア男子!!』で高校生が選ぶ天竜文学賞、2013年『何者』で直木賞、 2014年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞。ほかの著書に『もういちど生まれる』『スペードの3』『武道館』『世にも奇妙な君物語』『死にがいを求めて生きているの』などがある。(新潮社のHPより)
1989年ということで昨年30歳になったんですね、まぁ「ゆとり世代」で「悟り世代」ですよ。円周率は3.14ですよ。
僕が朝井リョウさんの作品が好きな要素はいくつかありまして。まずは「同世代感」。そして、何より好きなのが「イケてない感」、「ボンクラ感」!笑 (完全に失礼なこと言ってるのは重々承知です。)
毎回思うのが、人気無い人物とか、モテてない人物の描写がすごいリアルなんですよ。見た目は爽やかな感じなのに。
「少女は卒業しない」っていう作品は短編集で女の子が主役なのですが、読んでいて「朝井リョウはモテなかったのかなぁ・・・」と思わず感じてしまう。笑 僕は外見よりも、音楽や文学や映画に長けている人が好き。なので僕からすれば、才気走った最高にクールな男なのですが。
あと、「うわぁ、あるある!」ってなるのが映画化もされた「何者」。これは就職活動の話。初めて読んだのは大学生になってしばらくした頃。この時は「ふーん」ってなモンでした。
しかし、就職活動を終え社会人になったタイミングで改めて読み返してみたのですがヤバい。スゴいあてはまる。笑 6人出てくるのですが、絶対に肩入れしてしまう奴が一人はいる。僕が個人的に身につまされると思ったのが、、、
仲の良い友人が内定貰った会社をGoogleで「◯◯会社 ブラック」とかで検索する!
うあああああ、やってたあああああああ・・・・
いや、人間として浅ましいし器の小さい行為って分かってるんですけど・・・
就活生に「何者」を読ませるのは、現役軍人に「プライベートライアン」見せる級の拷問ですよ、マジで。
「桐島部活辞めるってよ」の映画は最高だってよ
そして、朝井リョウさんのデビュー作「桐島、部活辞めるってよ」。これは映画が本当の本当に大傑作! 年間頑張って100本をコンスタントに観続けている僕が日本映画で最も好きな1本です。
とある田舎町の県立高校映画部に所属する前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の学校の生徒たちは、金曜日の放課後、いつもと変わらず部活に励み、一方暇を持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、それぞれの日常を過ごしていた。ある日、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が退部。それをきっかけに、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。(https://movies.yahoo.co.jp/movie/342041/story/より引用)
まず観ていて思うのは、リアルさ。こういう奴いるって感じ、イケてないグループ、可愛い女の子グループ、バスじゃもろ最後部に座りそうなイケてるメンズ。
そして、物語の始まりは人気もスポーツも(明言はされていないけれど、おそらくスポーツも)完璧なスーパースター桐島くんが部活を辞めるというところから物語はスタート。言ってしまえば、自分たちの指針となっていた人物を失ったイケてるグループと自分の「好き」という思いに従い行動しているオタクグループの話。
桐島はさながら「殺し合いの螺旋」から降りた辻風黄平の様です。。。バガボンドはいつになったら新刊出るんすか。。。
さて、観ている人は必ず誰かに感情移入してしまう。僕にとってそれは前田くんでした。クラスのヒエラルキーとは関係なく、自分が好きなもの映画にのめり込んでいる姿。高校生の僕にとっては、「海外のロックバンド」でした。
この映画を観て、感じたのは好きを貫けば自己実現できるということ。持ってる奴が持ってない奴にたまには勝つってことです。結局「好きだから」って理由で、何かをしている人間が一番強いのです!
死にがいを求めて生きてるの
生きがいを求めるのは空しい行為なのか
さて、朝井リョウの本で何気に一番好きなのが「死にがいをもとめて生きているの」という本。Amazonでは評価はそこまで奮いませんが間違いなく素晴らしいです。
まぁ、低い評価にもからくりがありまして。この時に、伊坂幸太郎など著名な作家が「螺旋プロジェクト」なることをしていました。平たく言えば、同じテーマで話を書きましょうというもの。他の作品と整合性を取るために、若干不要な設定があります。ここが受けなかったのかな。笑
この本の中で真ん中に据えられているテーマが「生きがい」。 出てくる登場人物が全て20代、そしてみんな等しく生きがいを求めているんです。「これが生きがいなんだ」と思い込む為に、様々な活動にある種自分を酔わせて取り組んでいる姿が何とも痛々しい。
「桐島、部活辞めるってよ」にも通ずるテーマなのですが、やっぱり本当に「好き」なものがないのも辛いもんだなぁと。そして、この話のオチのようなものに当たる部分ですが、「それを生きがいにするなんてお前・・・」みたいな展開。朝井リョウは本当にやらしい作家ですわ。笑
そして、この中で個人的に大好きなトラウマシーンをご紹介!
個人的に好きなトラウマシーン
主人公の1人堀北雄介の話。「帝国のルール」と言うマンガが超大流行り。(おそらくワンピースくらいのブーム感だと思ってもらえれば)この中でウィンスラー大佐という超人気キャラクターがいるんです。
超クールで切れ者、決め台詞は「最小限のリスクで最大限のリターンを!」というドラッカーっぽいもの。
まぁ諸葛亮公明みたいな感じなんでしょう。
そして、小学生の頃の堀北雄介の自慢は親父の職業。それは会社名ではなく、役職名。では、どんな役職なのか??彼が友人に自慢して見せる父親の名刺に書いている役職は「リスク統括室長」、ウィンクラー大佐っぽい!笑
アホな小学生達は盛り上がりまくり、「雄介の親父は超ナイスな仕事をしている!!」ってなもんです。
そして、中学生の頃に職場見学の宿題が出ます。堀北くんとその友人達で堀木父の職場に行きます。「親父はどんな仕事をしているんだろう??」とワクワクのご一行。
そして、広報の人から職場に付き会社の説明を受けます。一通り終わったタイミングで堀北くんが質問「僕の父はリスク統括室長ですよね?室長ってことはリーダーですよね?何人位のリーダーなんですか?」と。
「やっぱ、この名前紛らわしいよね。リスク統括室長って書いてあるけど、室員は堀北室長だけなの。」
ん????
なんと、名ばかりの室長。。。。
しかも職場見学でした業務、これは地震などの災害というリスクに備えて乾パンや懐中電灯を延々と袋に入れ続けるというもの。
そう、堀木父は言い訳できないがちがちの窓際族で左遷コースだったのです!!これ中学生にしたら結構辛いで・・・笑
若者にとって生きがいとは!?
「リアリティー・バイツ」という映画があります。これはジェネレーションX世代を主人公にした映画。 1960〜1970年代頃に生まれた人達の世代ですね。
90年代に生きる、いわゆる″ジェネレーションX″の若者たちが社会の様々な現実に向き合う中で、本当に探し求めていたものに出会うまでを綴った青春映画。スタッフ、キャストとも同世代の若者たちが多く参加し、等身大の青春群像を描き上げている。
この映画の冒頭で、主人公が大学で卒業スピーチをするところからスタート。言う内容は「自分たちは何でも満たされた世代で生きるのに苦労は無い。しかししたいことも無いし、世の中に出ても別にしたいことが無い」というもの。
悟り世代と同じだ!!!笑
そう考えると、きっと若者にとって「生きがい」なんてもしかするといつの時代も幻想なのかもしれません。「したいこと」よりも「しなくてはいけないこと」をしていく人生になっていくのが自然なのかもしれません。
まぁ朝井リョウさんに学んで、「好き」を大事にするのが一番なのかなって思ったり。お金になるならない関わらず。自分が思わず時間を忘れて没頭してしまうことが毎日の中にあるのがきっと幸せであり、それが徐々に「生きがい」に変わっていくのかななんて。
え、僕はどうかって??
このまま続けていってブログが「生きがい」になればいいなぁ!
ではでは!