伝えた、確かに伝えた。メールでも送ったし、実際に会話もした。でも全く伝わっていなかった。

人に何かを伝えるのって、実は意外と難しい。同じ日本語を話しているはずなのに、伝わっていない。

・人に伝えるスキルを磨きたい
という人にむけて書きました。
ここで僕らができることはただひとつ。それはメッセージを絞ること。
一気に全てを伝えようとしない。重要なものは一つずつ伝えていきましょう。
ワンセンテンスワンメッセージ、ワンキャッチワンビジュアル、とにかく僕らがすべきなのは足し算ではなく、引き算なのです。
「伝えた」と「伝わった」はイコールではない
相手には意外と伝わっていない
僕らは生きてる中で、日々物事を人に伝えています。仕事上でもプライベートでも、人に伝える。口頭や電話やメールなど様々なツールで伝える。
ただここで怖いのが、相手に伝わっているとは限らないってこと。僕らが一方的に、相手も理解してくれている、と勘違いしている可能性もあるんですね。
「伝える」と「伝わった」はイコールではないのです。自分の脳内をそのまま、相手の脳にトレースできているとは限らない。
自分の中では伝えないといけない内容が多くある。それを自分なりにまとめて、相手に一気に伝える。
相手にも伝わった気になるけど、実は全然そんなことなくて、もう一度同じ説明をする。これはきっと職場あるある。
ご多分に漏れず、僕もそう。社会人になってから、

と何度思ったか分からない。ボタンのかけ違いなんてレベルじゃない。右はジッパーで、左がボタンダウンってレベル。
しかし逆も然りですよね。相手から色々話をされたけど、結局何も頭に残っていないってケース。
「伝えるのが下手」の原因はなにか?
上司や先輩の指示、誰かからの依頼、話が終わっても、結局何が重要なのか分からない。はじめの一歩が踏み出せない。
ちょっと逆説的に考えてみます。伝えるのが下手な上司や先輩は、どこがダメなのか。
反面教師にすべく、考えてみると、3つの要素が思い当たりました。
- 話の内容が多すぎて、結局何が重要か分からない
- 話が長すぎて、結局何をしたら良いのかうやむやになっている
- 話している内容がとにかく曖昧
あれこれと話しているのに全く伝わってこない人は、ここが共通しているんですね。
自分が伝えた気になってもダメ、あくまで相手に伝わっているかこそが重要。大事なのは相手目線なんですね。
「人は相手の話の80%を聞いていない」とも言われています。ツラいよね。でも確かに自分も、誰かの話をちゃんと聞いてないことも多いかも。

と一瞬思ってしまったけど、確かにそうかもしれません。そもそも人は人の話に、そこまで興味がない。
恋愛関係などで、相手が自分の話を覚えてくれていて、

なんてので僕らは喜んでしまう。
こんなの最たる例。「人は人の話を覚えていない」って前提があるからに他ならないはず。
伝えるために、内容を削げ
内容をシンプルにすることでしか、相手に伝わらない
人は相手の話の80%を聞いていない、これを制約として、僕らにできることは何か。伝わらない人に共通する3つの要素ともあわせて考えてみる。
出てくる結論は簡単。内容を削るしかない。最も伝えたい重要なメッセージだけに絞る。
内容が多すぎるとかえって伝わらない、だったら内容を削ろう。まさにミニマリスト的発想。
「伝わらないから内容をもっと盛らなきゃ」というのはNG。ラーメン二郎的な発想はひとまず脇に置いておく。
「伝わらないから、不要な情報を減らさないと」と軌道修正するのが正解。
Appleに学ぶ、伝え方の極意
ここで僕が好きなAppleのスティーブ・ジョブスと、クリエーティブディレクターを務めたリー・クロウの逸話を紹介します。
ちなみにMacBook Airで今この記事書います、ありがとうApple。
iMacの30秒CMを制作した時の話。4つか5つのメッセージを盛り込みたい、スティーブ・ジョブズはそう望みました。
この要望を聞き、リー・クロウはメモ帳から5枚の紙をちぎり、1枚ずつ丸め始めます。
全てを丸め終わると、「キャッチしてくれ」と言って、丸めた紙の玉を1つテーブル越しに投げた。スティーブ・ジョブスは難なくキャッチ。
「これが良い広告だ」とリー・クロウ。「もう一回キャッチしてくれ」と言って、紙の玉の5つ全てをスティーブ・ジョブスに投げる。
一気に5つも投げられたので、スティーブ・ジョブスは1つもキャッチできず、紙の玉はテーブルや床に落ちてしまった。
ここで一言、「これが悪い広告だよ!」

要素がいっぱいになってしまうと、かえって何も伝わらない。受け取る相手のことを考えると、最も渡したいボールを1つだけ投げるのが最も効果的。
普通に考えると情報量が多いのはありがたい。いつもインスタント味噌汁を食べているけど、「これが具沢山の味噌汁になればなぁ」なんて毎回思う。
しかし受け取り手にすれば、プレッシャーになるんですね。味噌汁の具は多ければ多いほどいいですが、情報量はそうではない。相手の負担になってしまう。
一番伝えるべきメッセージは何なのか?
ワンセンテンス・ワンメッセージを心がける
伝わらないのは、僕らの一文が長いから
相手に伝える際に、情報を盛り込みすぎると、逆効果。そのために内容を削いでいく。
そのために僕らは何をすればいいのか。ここで意識したいのが、ワンセンテンス・ワンメッセージ。
一文に内容を盛り込みすぎない。一文に込めるのは、一つだけにしましょう。
最近読んでめちゃくちゃ勉強になった本「短いは正義」。仕事などでメールをうつ機会があったり、資料作成される方にはぜひ読んでほしい。
作者はコピーライターとして活躍されている田口まこさん。
ライオン、花王、P&Gなどのトイレタリー商品、資生堂、カネボウ、ポーラ、ランコム、フローフシ、ロート、ファンケルなどの化粧品のコピーを手がけている方です。

この本から学べるのは、「短く書く技術」。伝わらない、結果が出ない、評価されないのは僕らが書いている「1文が長い」から。
一文は、60文字以内に、とどめる
そもそもワンセンテンスが長くなる最大の原因は、伝えたいメッセージをいくつも盛り込んでいることです。
複数の要素を一文に盛り込むと、文章は長く複雑になり、結局どのメッセージも伝わらない。
真面目だったり誠実な人ほど、経緯や理由や背景も全て丁寧に盛り込もうとする傾向がある。伝えたい気持ちが空回りしちゃってると。
そもそも全てを一文で一気に伝える必要はありません。ワンセンテンスで語るメッセージを1つだけでいいんです。
基本は一文一意。シンプルであるほど分かりやすい。
ここで目安にしたいのが一文を60文字以内に留めるという事。
まずはメールなどで文面を書く際に、60文字以内に一文に納めるようにしてみましょう。
果たして僕はできているのか、意識はしてるんですけどね。。。
このワンセンテンス・ワンメッセージを実行し、その次は一歩進んで文章全体のメッセージを取捨選択していきます。
いくらワンセンテンスを短くしても、文章全体にメッセージを盛り込みすぎていると伝わりづらいもの。
日々の生活の中で、僕らの手元に届く資料やメルマガ等を思い出してみましょう。
伝えたいことが山盛りすぎて、結局何を伝えたいのかよく分からないなんて事は多いですよね。
文章をダイエットさせよう!
実際に僕らが考えているよりも省いて良い情報って多いんです。
少しくらい省いて伝えても、人は分かってくれる。必要な情報と不要な情報をしっかり整理することが大切。
この本でオススメされている方法。
文章全体をダイエットする方法
- 内容をまずざっと箇条書きにする
話の内容をまずは要素に分解していく。話の要素をとにかく思いつく限り列挙する。 - 最も伝えないといけないコアな要素を1つ選ぶ
- そのコアな情報を伝えるために、他に最低限の必要な要素を選ぶ
この方法で、僕らが説明する内容はかなりシンプルになります。
「伝わる」とは「思い出してもらえる」ということ
電通のコピーライターに学ぶ

「伝わる」とはそもそもどういうことか。続いては、相手に伝えるという行為について考えてみましょう。
ここで参考になるのは、「心をつかむ 超言葉術」。著者は電通の人気コピーライターである阿部広太郎さん。
この本はコピーライターとして10年以上経験を積んできた阿部広太郎さんの、ノウハウと言葉への知見が詰まっています。
SNSなどで発信される機会が多い方や、仕事で企画書などを書く機会が多い方にはオススメ。
ちなみに、阿部さんは、過去に東進ハイスクールのCMを手がけ、
「いつやるか?今でしょ!」を世に送り出した人でもあります。林修の発言に注目し、CMに盛り込んだ影の立役者。んだ影の立役者。


思い出せない自己紹介は伝わっていないのと同じ
そんなハイパーコピーライターの阿部さんは

とこの本で定義しています。
例えばみんなで自己紹介をした日の帰り道に、「あの人は〇〇の人だったなぁ」と思い出せる。
例えば何か困ったことがあった時に、

と思い出せる。
「伝わる」とは、受け取った相手が頭の中で思い出せることを指すんです。思い出してもらえない、それすなわち、伝わっていない。
「短く、強く、シンプルに」が、広告界のルール
たくさんある情報の中で、最も自分が届けたいものは何だろうか。言い換えれば、自分の何を相手に最も知ってもらいたいのかをまず決めるのが大事です。
広告業界には「ワンキャッチ・ワンビジュアル」という基本の作法があります。作法があります。
ひとつのビジュアルに対してひとつのコピー。心を掴めるかどうか、これはもちろん中身によります。
しかしそれよりも、見てくれた人が受け取りやすい様にシンプルにすべき、この意識が根本にあるんですね。
多くを語るよりも、少ない言葉の方が、考えや情景が広がり、結果的に多くのことが相手に伝わっていく。
短く、強く、シンプルに。これが広告業界においては、基本的な考えとなっているようです。
伝えるためには、Simple is bestを心がける
もっとも伝えたいメッセージにだけ特化する
短い方が良い、内容の二郎盛りはNG。大事になってくるのは、Simple Is Best。
面白いもので、「シンプル」という言葉って褒め言葉にしか用いられません。僕らは無意識にせよ、スッキリと整っている状態を求めているのかも。

確かに「過ぎる」を付けると、何でも悪口になるので、それはノーカウントです。
良い人過ぎる、元気過ぎる、素直過ぎる、などなど。おっと過ぎるが過ぎてしまったか。
最も伝えたいメッセージをひとつ決める。そのシンプルな状態で、相手に伝える。これが大事なんですね。
資料作成が上手な会社の先輩。いつも見やすくまとまった資料を作っている先輩に、昔質問したことがありました。

「シンプルにすることは意識してるかな。SoftBankの決算発表とか見てみ!めっちゃ勉強になるで!」と教えてくれました。

ソフトバンクの決算発表、最強のお手本
https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20210208_01 より引用
確かにめちゃくちゃにシンプル。。。しかし考えてみれば、決算発表は対社外の資料です。
いろいろな人が見る。財務会計に詳しい人も、そうでない人も見る。
これだけシンプルだと、誰が見ても分かる。そして人によって、解釈が分かれるなんてこともない。だって情報がひとつしかないんやもん。
SoftBank2020年3月期 第1四半期 決算説明会 プレゼンテーション資料 より引用
僕らは全員資料を作る際、人に何かを伝える際、SoftBankを意識すべき。シンプルに特化して、弊害はないんです。
この記事で伝えたいメッセージはひとつです。

ということです。うーん、メタ構造。
まとめ
では、最後にもう一度この記事をまとめます。
この記事のまとめ
- 伝えるために、内容をシンプルにすることが必須。情報量が多いと伝わらない。
- ワンセンテンス・ワンメッセージを心がける。一番伝えたいメッセージだけを届けよう。
- Simple Is Best、SoftBankの決算発表を意識すべし!
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この記事が面白ければ、是非他の記事も読んでいって下さい。貴重な時間を頂きありがとうございました。ではでは!