これをしない日は落ち着かないってものありますよね?僕にとっては、それは「日本語ラップ」を聴くということ。
おそらく、聴き始めて6年位聴かなかった日は今までない。記憶する限りない。正直ジャンキーのレベルです。
もう生活レベルまで浸透しているというか、日本語ラップがない人生なんて想像も着かないというか。やはりカルチャーは親しめば、日常に取り込まれていくものだなと。
しかし、僕が「日本語ラップが好き!」と言ったり、友人とのドライブの際に基礎から教えようと漢a.k.a.GAMI「導〜みちしるべ〜」とか、BUDDHA BRAND「病める無限のブッダの世界」をかけて社内が気まずくなったりなんてこともありました。
聞いていると周りの方からは「日本語ラップってダサくね!?」なんてのもちらほら。
ふざけんな!!HIP HOPが最高の音楽だってことを、日本語ラップが人生を好転させるツールだってことをおれのこの人生で証明するぜ! タフなB限定の記事です!
(転用元:https://www.repfutekigo.com/entry/2017/07/01/231331 )
日本語ラップはダサいとは金輪際言わさせない
「日本語ラップ=ダサい」、こう思っている方非常に多いです。現に何度も耳にしています。しかし、敢えて言いたい日本語ラップは非常にクールな音楽であると。
なぜダサいと言われているのかと考えると、色々要素がある気がします。
- そもそもアメリカ人がするものだ
- 聴いていて、なんかこっちが恥ずかしくなってくる
- 歌詞がイキっている
他にも色々ありそう。否めない部分もあります。以前読んだ本には、韓国語は言語の響きからラップに向いている言語だと読んだことがあります。
そもそも言語体系自体で向き・不向きが存在するみたいですね。まぁおそらく日本語はラップには不向きな言語かもしれません。
しかし、日本語ラップの面白いのは聴いているうちに徐々に耳が慣れてきます。TOEICのリスニングとか、スピードラーニングと同じと言えるかもしれない。笑
そして、耳が慣れ出してくると、分かるのです。日本語の持つ意味と響きの豊穣さが。そして、その圧倒的なまでのエンターテイメント性が。

これは断言できるのですが、日本語ラップの歌詞で適当に書かれている歌詞は一つもないのです。別に批判しているわけではないですが、J POPの使い回しの歌詞とはわけが違います。
必要以上に、翼を広げないし、ありがとうとか言わないし、明日に向かって走り出さないし、光は射さないし、涙も流さない。
言語の海にたゆたう膨大な言葉の中から、適切で、ユーモラスな表現を選定しているのです。脳みそに汗をかかずしては作れない。
それに、日本は古来から和歌や短歌などの様々な歌がありました。ここで歌と言っても、今とは系統は異なりどちらかと言えば「詩」に近いですね。
なぜか印象に残っている式子内親王の句。

響きの良い言葉を意味が分かる様に配置するという遊びは日本古来からのものな訳です。アメリカ様から伝わる前からずっと日本人のDNAに組み込まれている遊びなんですね。
つまり、日本語ラップは日本人の血脈に流れる言語感覚が行き着いた最終形態なんですね。
今日昨日出てきたものとはワケが違う。インスタントではない足跡がここにあるんです。
日本語ラップは頭を使った者が勝つフェアなゲームである
現に今のシーンを見ていると、勝っている奴(というか売れている奴は)たいがいこの2パターンに分けれると思います。
- 頭を使う事をやめなかった奴
- 普通ではない人生を送ってきて、それを自分の言葉で表現できている奴
細かく分けるともっと種類はありますが、そもそもの基本はこの2つ。この音楽ジャンルの特性上、危険だったりアウトローな人生を生きている方が有利なのです。
実体験を誇張を交えながら面白おかしくテリングしていくので、そもそもの実体験が面白いのはかなり有利。最初からレベルの高い食材で料理できるというイメージ。
武道館をソールドアウトさせたBAD HOPとかは正にこのタイプですね。アルバム「Mobb Life」は必聴です。
- アーティスト:BAD HOP
- 発売日: 2017/09/06
- メディア: CD
しかし、大多数はそうじゃありません。というかそんな経験を積んでいる人が多いと価値が薄まりますし。なので、珍しくない実体験をお持ちのラッパー。
ここでどうするか?もう頭を使うしかないわけです!だって平凡な食材で料理をするわけですから。笑
こうなってくると、いかにしてありきたりなことを面白おかしく言うかという戦いです。
実際ラッパーで成功しているのは基本的に悪そうなやつだったり、複雑な生い立ちを抱えてたりするわけです。しかし、一方で普通の環境で育った人でも成功しています。
ZEEBRAの超有名なフレーズに

ってのがありますが、ライムスターは、

とラップしていました。つまり、面白い体験をしている奴はそれをラップしなさい。普通の体験をしている人はそれを面白くして言いなさい、こんな感じです。
今度から聴く際は、どのような工夫をしてこの曲を作ったんだろうと考えながら味わってください。
何故、HIP HOPはフェアなのか?
HIP HOPはフェアな音楽と言いましたが、何故フェアなのでしょうか?僕からすれば、人はHIP HOPという巨大なカルチャーの前には完全に平等なのです。
その理由は、HIP HOPは頭を使った人が勝つ様にできているからです。
あとは、基本的にお金がかからないからです。優れた教育などもいらないですし、基本的にはストリートが教科書なのです。
あとは文化としての懐が深い。人種とか肌の色とか宗教とか育ってきた環境などによらず誰でも享受できるカルチャーなのです。
ラップという音楽ジャンルにおいて、 基本的に歌詞(リリック)は自分で書きます。ゴーストライティングなどはあり得ない。自分が生きてきて感じたものや見てきたものなどを綴らないといけない。
人から借りてきた言葉ではダメで、自分の言葉でリリックに落とし込むことが重要なわけです。
ラッパーというと粗野な印象をもたれるかもしれませんが、非常に内省的な瞬間を積み重ねているのです。
(転用元:http://amebreak.ameba.jp/interview/2014/09/005191.html )
そして、その時に大事なのはいかに人の心の琴線を震わすことができるリリックを書けるかということ。
ここでは思考の深さや、かけた時間などがものを言います。つまり特別な教育や、才能がなくても自分で工夫をするということが非常に大事です。
僕が大好きなラッパーで度々このブログでも名前を出しているライムスターも正に「工夫」の権化です。実際に、「K.U.F.U」という曲も出しているくらいですからね。笑
ライムスターのMCの1人である宇多丸も、「サバイバー」という曲で次のようにラップしています。

不足している分はなにか知恵でカバー
結局事務所のゴリ押しとか、コネとか、音楽教育を受けれる環境などは関係なくきちんと頭を使った人が勝てるゲームなのです。ここまで平等なことってなかなかなくないですか?
では、日本語ラップは何から聴けばいいのか?
さてはて、「じゃあ日本語ラップに興味を持ったけど何から聴けばいいの?」という方も当然出てきたと思います。というわけで入門に最適なアルバムを2枚紹介。
選考基準は、この3つ。
- だれずに最後まで聴ける
- 日本語ラップの韻と表現の面白さが詰まっている
- 音楽としてかっこいい
「日本語ラップ 名盤」で検索するといっぱい出てきます。しかもちゃんと名盤です。しかし、初心者には取っ付きづらいのも確か。名盤を名盤と思えるにもそれなりの耳とラップ耐性がいるわけです。
ライムスター「ダーティサイエンス」
- アーティスト:ライムスター,キエるマキュウ
- 発売日: 2013/01/30
- メディア: CD
まず聴きやすい!そして、日本語ラップのお手本の様なかっこよさ。日本語でラップをするというのは、「汚れた科学」であるというテーマのもと作られたアルバムです。
そして、何を隠そう僕が始めて聴いた日本語ラップのアルバムがこの「ダーティサイエンス」なのです。このアルバムの面白さ・知恵に一気に引き込まれ日本語ラップの世界にハマってしまったのです。
そして、このアルバムには「The Choice Is Yours」という曲が入っています。もうこのブログで何度もしている話ですが、この曲が僕の日本語ラップのきっかけだったのです。

そう思うと怖いな。。。小田和正だな、あの日あの時あの場所で、、、、
般若×ZORN×SHINGO★西成「MAX」
- アーティスト:般若 x ZORN x SHINGO★西成
- 発売日: 2018/04/29
- メディア: CD
これは昭和レコードというレーベルに在籍しているラッパー般若、ZORN、SHINGO★西成という三人のアルバム。まさに三者三様のラップを披露しています。
現在、ZORNはこのレーベルを卒業したので、今後この三人でアルバム出ることは無いんだろうな。。。寂しい。。。
般若は言わずと知れたフリースタイルダンジョンのラスボス。バトルも勿論ですが、何より音源がかっこいい。真面目な歌詞と真面目にふざけている歌詞が同居する、何とも言えない!笑
手練のラッパーが奇跡の化学反応を起こしてしまっているそんなアルバムです。ビートも奇をてらっていないクールなものばかり。なぜこのアルバムを勧めているかというと、友人とドライブしている際に日本語ラップを色々かけていました。
その中で、最も抵抗無く「これってカッコいいね」と言われたのがこのアルバムだったから!笑もうすでに実績ありなのです。
というわけで、この2枚を聴けば日本語ラップにずぶずぶにハマってしまうでしょう。ようこそ、日本語ラップという言語学の世界へ!