関西に住みつつ、大阪の大学に通いつつ、大阪勤務もしていたのに、なんだかんだ今まで行ったことのなかった万博公園。
初・大阪万博公園

用事があって、大阪大学へとモノレールに揺られている際に、目に入ったこともある。太陽の塔は、想像しているよりも大きく、存在感がある。嫌でも意識せざるを得ない。
しかし足を踏み入れたことはない。「万博公園の太陽の塔、久々見たいなあ」って、ドリカムの名曲「大阪LOVER」でも、歌われている。
彼女が東京、彼氏が大阪。遠距離恋愛している東京住みの彼女が「久々見たい」と宣ってるんだから、確実に一度は行ったことがあるのだろう。
僕の祖父は、大阪府で公務員として働いていた。オールナイトニッポンを聞いていると、「父は公務員」というラジオネームをよく聞くんだけど、その方式でいくと僕は「祖父は公務員」である。
祖父の年齢は90歳超。1970年の大阪万博当時は、30代半ば。働き盛りの時期で、万博運営には多少なりとも関わっていたはず。
しかし僕は、これまで行ったことがなかった。なんでやねん。岡本太郎の「自分の中に毒を持て」は、なんとなく買って読んだ。しかし行ってない。どないやねん。
今回実家の奈良に帰省し、休みが被った母と弟と一緒に行くことに。「そういや行ったことなかったんだよな、行ってみたい」と僕が提案し、実施するに至る。
母と弟はともども過去に行ったことがあり、「え、行ったことなかったの?逆に」みたいなノリで驚かれる。特に母などは大阪万博当時に、幼稚園生だったらしく、リアルタイムで行ってたらしい。歴史を感じる。
太陽の塔、内部へ

奈良から車で運転すると、高速道路を使って一時間程度。意外と近い。朝起きてからワクワクしすぎて、車で流すプレイリストを作成したりする。
さしたる意味もメッセージ性もなく、mihimaruGTの「気分上々」をプレイリストに入れてみる。
「え、なに!この曲かっこいい!」という発見よりも、「やべぇ、懐かしい、キマるううう!」という郷愁の方が、ドーパミンが出るようになってしまった。
令和キッズが知らなければ知らない曲を突くほど、ドーパミンが出る。俺も立派なドパガキに違いない。
満を持して万博公園に入る。太陽の塔の正面はあまりにも有名だけれど、背面って知名度はそこまで高くない。裏も裏で、味わい深い。こういうタトゥー入れてる人もいそう。
月の裏を見れました、みたいな満足感を味わいながら、太陽の塔へと入る。ここは課金スポットで、万博公園の入場料に追加でお金を払わないといけない。
生命の木

入場時間が30分ごとに区切られていて、20分前集合が原則。地下に入ると、赤い。万博は赤がイメージカラーなのかもしれない。メインの展示物は赤が印象的に使われている。

太陽の塔の内部は、一本の木が伸びていて、階段で登りながら、それを鑑賞していく造りになっている。この木は「生命の木」と名前がつけられていて、高さが41mもあるのだそう。
初代ウルトラマンの身長が確か40mなので、それよりもデカい。この木の根元には、原始時代の生物の模型があり、上に登るほど、生命が進化していく。

何度となくカラオケで歌うけれど、全く見たことがないアニメランキング、横綱の「創世のアクエリオン」。「世界の始まりの日、生命の木の下で」なんて歌い出しから始まる。
うわ、おれ、生命の木の下にいるわ。ってか、AKINOって、「創生のアクエリオン」以外で、なんか曲出してるんだっけ。高橋洋子は「魂のルフラン」とかも出してるぞ、などとぼんやりと考える。

木に三葉虫が蠢いている。冷静に考えると、普通にキモいんだけど、芸術と思うとなんか許せてしまうから不思議。見た目なんて、ほぼゴキブリなんやけどな。
海辺でデートしてて、テトラポッドがこんなことになってたら、絶叫必至なんだけど、太陽の塔の中では全てが許される。芸術ってすげー。
そしてこの太陽の塔の中で、技ありなのが、写真を撮るためにも課金が必要という仕組み。1階は自由に写真が撮れるんだけど、それより上で写真を撮ろうとすると、有料のスマホホルダーを借りないといけない。
いや、危険なんで、下に落としたらダメなんで、だからこれ使ってね、有料だけど、みたいな。いや、落とさないよ、人によっては最初からスマホホルダーつけてる人もいるで。
しかし、そんな反論は一切関係ない。郷に入っては郷に従うしかない。よくよく考えれば、トンデモ理論なんだけど、なんか受け入れてしまう。芸術ってすげー。(2回目)
芸術は呪術である

どんどん上に行く。分かっていたけれど、人類が発生するのなんて、先っちょも先っちょ。テラフォーマーズで「ゴキブリの方が人類よりも先輩なんで」みたいなことを言ってたけど、マジでそうだよな。
一番上まで登り切ると、太陽の塔の腕の内部が見える。外から見ると、白いトゲトゲにしか見えないけれど、中から見ると、なかなかイカつい。

「2001年宇宙の旅」みたいな世界観。隣にいた弟が、「テクノ流したくなるよな」ってコメントしてた。
上まで登り切ったら、あとは淡々と降りるだけ。階段を降りていると、当時の写真とか、岡本太郎語録が書かれている。

岡本太郎のおそらく一番有名なパンチライン「芸術は爆発だ」、初めて知ったのはNARUTOだった。暁のメンバーであるデイダラが、決め台詞として発していた。
当時まさに中学生だった僕は、はちゃめちゃに感動した。「爆発ってえええ、かっこよすぎいいい!!」、身悶えする。
美術の成績で5段階評価で2を取った僕でこのザマなんだから、芸術センスがある中二病の奴はたまらんかったんだろう。
大人になってから、このセリフが、S級抜け忍たちで構成された最強の犯罪組織のメンバーではなく、エキセントリックな芸術家の発言だったと知る。
そんな感慨に耽っていた矢先のことだった。

え、そうなの、芸術って呪術なの!?NARUTOの話をしてると思ったら、呪術廻戦の話だったの、たまげてしまう。
「芸術=爆発」、「芸術=呪術」、ということは数学の推移率よろしく、「爆発=呪術」ってことで良いんだろうか。難しい。

万博公園にまた行きたい

一階まで戻ってくると、ミュージアムショップがある。良い、これは良い。外は暑くて、中は涼しい。浴びるほど岡本太郎を摂取すると、このショップを見ないなんて選択肢はない。
太陽の塔のキーホルダーが一番人気らしく、買うか迷ってしまう。でもあんなにトゲトゲしたキーホルダーは、どこかに引っかかりそうとか、腕がちぎれそうとか、妙に冷静になっている自分もいて、結局何も買わない。
商品名には英語表記もついていて、「The tower of the sun」となっていた。まんまの直訳。めっちゃ良えやん。ごっつ分かりやすいやん。
ニューヨークで「自由の女神ってどこだろう?」って、調べた際に「The Statue of Liberty」が英語表記と知り、分かりづら!とツッコんだのを思い出す。

その後に、万博公園内のEXPO'70を訪れた際に、過去に使われていたという恐竜たちを見つける。シンプルなデザイン。ダイナソー竜崎のデッキに入ってそうである。
ジュラシックパークの映画が1993年だから、それよりも20年以上も前に恐竜を使おうって発想があったのがスゴい。

1970年当時の情報が書かれた看板を見つける。大卒男子の初任給が3.67万円。物価の差を感じる。そう思うと、映画入場料が600円は高い。
家で無料で黒澤明を見ることができる時代になるなんて、この当時の人は想像してなかっただろう。数学でノーベル賞を取ったのと並列で、三島由紀夫の切腹が載っているのは強すぎる。
偉業を成し遂げたら取り上げられるけれど、死んで取り上げられるのは、成し遂げ切った人であることの証左に他ならない。

ということで、炎天下だったけれど、大満足。「万博公園の太陽の塔、久々見たいなあ」と、言える身分に、僕もなりました。
