記憶をなくしてもう一度、マンガ「ブルージャイアント」を読みたい。これが最近の密かな願い。
・好きなことをしているけど、お金にならない
という人にむけて書きました。
僕の人生に大きく影響を与えてくれたのが、マンガ「ブルージャイアント」。新入社員の頃に、ふとしたきっかけで出会ったのが始まり。
好きなものを貫く、この熱さと素晴らしさ。「ブルージャイアント」を読むたびに全身を駆け巡る。
おい、どれだけのサラリーマンが、毎日夢中になって生きてるんだよ!?いないよね、そんなのは希少種だよね。
ブルージャイアントとサラリーマン
「ブルージャイアント」は完璧なマンガ
「世界一のジャズプレーヤー」になるストーリー
おもろい!めっちゃおもろいよ、ホンマに!
「世界一のジャズプレーヤーになる」という壮大な目標に向かって、主人公の宮本 大がサックスを吹き続ける。これがブルージャイアントのあらすじ。
ジャズに出会い感動。そこから仙台の河原で、3年間も、たった一人で、サックスを練習し続ける。
話はここからスタート。まずマトモじゃない。誰に見せるわけでもないのに、一人で練習し続ける。
主人公の熱意がハンパない
やっていることはルフィと同じ。「海賊王にオレはなる」という夢を実現するために冒険している。
大も同じで、途方もない目標に向かって、自分を疑うことなく突き進む。そこに色々なキャラクターが出てきて、ドラマが生まれる。
そしてここがスゴいんだけど、僕も「大は世界一のプレーヤーになる」と疑ったことはない。一回もない。
心の底で信じてしまってる。
大はスゴい。好きなものにかける思いがハンパない。熱意が消えない。努力をやめない。
大人になったら、「好きなもの」がなくなる
こだわりが薄くなるのが、大人になるってこと
これがサラリーマンになって知った真実。そして実際に周りを見ていても、例外はない。
「好きなもの」は誰しもある。あの曲が好き、あのファッションが好き、あのスポーツが好きなどなど。
しかしそこにかける熱意は薄まる。大人になるってのはそういうこと。こだわりが消えていくのだ。0にはならないけど、昔の熱量は必ず下回る。
好きでもないことで給料をもらうサラリーマンとは対局の存在
主人公の大はお金はない。ずっと金欠で悩んでいる。音楽活動のために、いつもお金をやりくりしている。レストランの皿洗いのバイトをしていることもあった。
実力はある、聴いた人の感性にブッ刺す演奏をする。しかしずっと稼げていない。
ここが良い。だってサラリーマンと、正反対なんだもん。「お金の為に、仕方なく」って続けている会社員と対局に位置している。
「ブルージャイアント」に出会ったのは、僕が新入社員だった頃。仕事は楽しくない。人生で初めてあたった上司は最悪だった。
「丁寧にやれよ」とだけ言われ、仕事を任される。ミスしたら、キレながら「丁寧にやれと言っただろ!」と怒られる。
具体性のないアドバイスしか受けたことはなかった。そんな時期に僕はこのマンガを読んだ。
大に憧れた、というか今も憧れている。こんな風に生きてみたかった。
上司の顔色をうかがい、貯金をすることでなんとかメンタルを保っていた僕とはあまりに違いすぎた。
「ブルージャイアント」は何が面白いのか?
面白いポイントを3つに絞る
とにかく面白いマンガなので、読めば魅力は必ず伝わる。だからまずは読んでみてほしい。
普段マンガを全く読まない僕の両親にも勧めてみたところ、気がついたら貪るように読んでた。
あまりに若すぎると伝わらないかもしれない。20歳以上であれば、全員問答無用でハマるはず。
- 主人公がとにかく魅力的
- 人間ドラマが秀逸
- ジャズへの造詣が深くなる
主人公がとにかく魅力的
もう伝わっているかもしれないけど、主人公の宮本 大がとにかく魅力的なのだ。
見た目は普通の若者って感じ。特にモテるわけでもない。勉強もそこまでできるわけでもない。
ずっとバスケ部で、熱心に取り組んでいたけど、インターハイに出たとかもない。そこらへんにいそうな青年。
しかしただひとつずば抜けているものがある。それがジャズへの愛情であり、サックスを吹くことに関しての熱意なのだ。
王道のマンガでは、主人公は血筋が良かったり、特殊な才能に恵まれているもの。そこにプラスで努力をしている。
ドラゴンボールでも、バキでも、ハンターハンターでも、なんでもそう。しかし大は至って普通。努力、圧倒的なまでの努力のみで、前へ前へ進んでいる。
僕らとスペックは変わらない、なんなら僕らよりも低いかもしれない。僕の方が偏差値高い高校に通ってると思う。
しかしそんな青年が、愚直なまでに努力を重ね、前人未到の頂に到達しようとしている。
読むたびに毎回そう思う。本当に憧れる。
超お金持ちで豪遊する人生。異性にモテまくる人生。ハイスペックで楽々生きていける人生。確かに全て羨ましい。
だけど僕は、本当に好きなものを、本当に追いかけ続ける人生が最も羨ましい。お金じゃ買えない。誰にでもできそうで、誰にもできない。
人間ドラマが秀逸
ジャズを巡る旅、出会いと別れ
「ブルージャイアント」の大きな魅力のひとつは、なんと言っても人間ドラマにある。
大は地元の仙台から、東京に移る。そこからヨーロッパに渡り、今ではアメリカでサックスを吹いている。
「ブルージャイアント」は、とどのつまり、大がサックス一本を持って旅をする物語なのである。ここでの出会いと別れが、とにかく胸に刺さる。
大がサックスを吹いているのを見て、思わず購入してしまう人。いつの間にか、大の熱にあてられて、ライブの手伝いをする人。
大の放つジャズへの熱意と、夢を追う姿勢が、行く先々で触媒となって働く。
ジャズは世界的に見て、音楽の主流ジャンルとは言えない。大きなフェスに出ても、知名度はまるでない。
しかし大の演奏を聴いた人は、全て人生が変わる。多かれ少なかれ、前とは違った人生を歩むことになる。ここにドラマがある。
音が見える、心の動きが見える
「ブルージャイアント」のマンガ評の中で、言い得て妙だなと思ったのが、「音が見える」というもの。
見える。見えるのよ。音が。聴覚だけだと思ってたでしょ。違うんよ、視覚で捉えられるのよ。
演奏描写が凄まじい。楽譜が飛んでる。落語家が音を立てたら、そばが見えるやん!?あれの逆、マンガのコマ見たら、音が脳内再生されんねん。
個人的に好きなのが、聴いている人たちのリアクション。
ジャズに興味ない、聴いたこともない。海外では「え、アジア人がジャズ?スベってるわね」と見てくる人たちが、大の演奏を聴いた瞬間の表情が最高。
SNSじゃない。生だ、現場だ。今、ここだ。観客の反応をみて、エゴサーチ。観客のリアクションがとにかくクセになる。
ジャズへの造詣が深くなる
ジャズはオシャレではない、激しいのだ
そして大きな魅力の一つが、僕らの人生にジャズをもたらしてくれるってこと。
僕ももともと有名どころは聴いていたけど、ジャズに対する理解が深まった。
そう思う人もいるかもしれない。しかしそんなことはない。
「ジャズは激しい」というのが、たびたび語られる。ロックとか、クラブミュージックと同じ。とにかく腰が揺れてくる音楽。
ロックスターは破天荒なイメージはあるが、ジャズの偉人たちもはちゃめちゃな人が多い。ジャズはやはりエキセントリック。
人生こそがビバップ
僕は日本語ラップも好きで、音源もバトルもよく見ている。ラップバトルなんかは、かなり市民権を得てきた。
即興。インプロビゼーション。フリースタイル。ここがヒットしている。
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自己肯定感を高めたいなら、日本語ラップを聴け。自分が自分であることを誇れ。
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しかし音楽的に見ると、即興演奏はジャズの方が歴史がある。大先輩。
1940年代に成立したジャズの演奏スタイルで「ビバップ」というものがあり、これ以降がモダンジャズと呼ばれる。
アドリブがメインの現在のジャズ。これは、まさにこのビパップによって誕生した。
僕もブログを書く際は、ノートに下書きをする。どんなことを書くのか、どんな章立てにするのか、大まかに書く。
しかしディテールは、即興。ブログ、畢竟、フリースタイル。ライティングとは、ビバップなのだ。
というか人生もそうだ。練習はない。本番のみ。再演のみ。一回ぽっきり。人との会話、今日の過ごし方、全て即興。
人生は、なんでもあり、自由型。僕らの人生はジャズだ、ビバップなんだ。ジャズ、聴こうぜ。
努力の先に見えるものとは
そこまで好きになれるものってあるのか?
なにかを好きになる。好きでい続ける。その熱量を保つ。子供の頃なら当たり前だったけど、大人になるとこれも立派なスキルになる。
たぶんあなたも身に覚えがあるはず。
昔は前髪が上手くキマらなかっただけで、一日中ローテンションだった。好きなアーティストは、とにかく深掘りしまくった。
お気に入りのマンガは何度も何度も読み直した。ただいつの頃か変わってきたはず。
好きなものにかける思いが薄れる。こだわっていたものが、徐々にどうでもよくなる。「大人になった」とも言えるけど、「人生に冷めた」ともとれる。
「ブルージャイアント」を読んでいると、ずっとこの問いを投げかけられている気がする。
大は必ず世界一のジャズプレーヤーになる
ワンピースを読んでいると、読者はみんなこう思う。「海賊王にオレはなる」、うん、なれると思う。
ルフィは桁外れに強い。仲間も強い。強敵にどんどん勝っている。賞金額も地位も上がってる。だから疑わない。
大は「世界一のジャズプレーヤーになる」と折に触れて語る。なれると思う。というかなれないわけがない。
ルフィは序盤に10年間修行して強くなっていた。しかしその過程はない。一話目でもう超人の域まで達していた。
ストーリーの中で、レイリーと共に修行するシーンもあるけど、詳細は描かれていない。
司馬遼太郎の名作「竜馬がゆく」。ここでも主人公の坂本竜馬は一瞬で強くなってる。
「竜馬は修行して強くなりました」みたいな一文があるのみ。そこから竜馬は、基本的に剣の戦いでは負けない。
しかし大は違う。執拗なまでに、日々の練習風景が描かれている。どんな環境でも、どんな国でも、孤独でも、ひたすら一人で練習している。
ずっとそのシーンを見ると、「あれ、こいつ世界一のジャズプレーヤーになるしかなくない!?」となる。
実際に大が組んだ凄腕ばかりのバンド。しかし徐々に大だけ突出しだす。その状況を、大を除いたメンバーが、話し合うってシーンがある。
そこでメンバーの一人が、核心をつく。「大が、私たちの中で、一番楽器に触れている時間が長い」と。
好きなものを追い続けるのは才能だ
僕は大になりたい。憧れてる。ブラピにも、ジャスティン・ビーバーにも憧れてる。孫正義の資産も憧れる。
しかし結局は、「ブルージャイアント」の宮本大こそ、僕の憧れなのだ。金は確かにない、今は。知名度もない、今は。
熱中できるものがある。そしてその熱量が消えない。人生をずっと夢中で生きている。憧れずにいられるか?そんなの無理だ。
「好きなものを追い続けるのは才能」、こう定義したとする。そうすると、古今東西、歴史・フィクション全てを網羅しても、宮本大がぶっちぎりで一番の天才ってことになる。
大にとってのジャズが、僕にとっての文章であれば素敵だなって思う。
「あいつ文章上手いよね」、「だって誰よりもライティングしてる時間長いもんな」って陰で言われたい。
あなたはありますか?大にとってのサックスがありますか?夢中になれるものはありますか?
まとめ
では、最後にこの記事をまとめます。
この記事のまとめ
- 「ブルージャイアント」は、人間ドラマと、主人公のキャラが、とにかく魅力的
- 人生はジャズだ、ビバップだ
- 夢中で生きていく人生こそ憧れる
サラリーマン生活をより豊かにするための情報に特化し、ブログの記事を投稿しています。会社員をしながら、毎日少しづつ書き溜めております。
この記事が面白ければ、是非他の記事も読んでいって下さい。貴重な時間を頂きありがとうございました。ではでは!