大人になり、物欲がほぼなくなった今。京都が楽しい。
モノではなく、経験にお金を使う様になった今、京都が楽しい。
物欲がなくなってからの古都巡り
関西育ちでも、京都はあんまり行ったなかった
ここでいきなりクイズ。都道府県に含まれてる中で、一番大きな数字は?
三重、3か、少ない。九州、都道府県ではない。千葉、いいぞ、1000。
答えは、京都。京。 10000000000000000。
実家が奈良で、高校まで奈良で育つ。大阪にある大学に進学し、就職先も大阪へ。
転勤で東京にいた時期もあるも、人生の大半を関西で過ごす。
ただ僕が行動する範囲は主に大阪で、しかも難波のあたりのみ。かなり偏った地域で行動をしていた。
実家を出るまで、奈良の愛着は今ほどなかった。面白みに欠けている気がしていたからだ。
物欲に塗れていた頃は、退屈で仕方なかった。買い物できるところはない。
当時大好きだったクロムハーツやヴィヴィアンウエストウッドを売っている店なんてない。
オシャレなセレクトショップもない。社会人3年目の頃に、奈良県初のBEAMSができた。そんなレベル。ロンハーマンは今でもない。
奈良市は日本で唯一、県庁所在地に映画館のない県らしい。物足りなかった。
サクラメントというアメリカの片田舎の女子高生が主人公の「レディバード」って映画があった。
年頃にはつまらなさすぎて、田舎を抜け出しニューヨークに行こうという、監督の自伝要素もある映画。
だけどいざサクラメントを去るとなった時に、育った街の美しさに気づくって場面がある。今になってめちゃくちゃ分かる。
京都にもっと行っておけば良かった
女子高生でも気がつけたことを、30過ぎてしみじみと噛み締めている。
今になって、奈良が面白い。それと同時に、京都の奥深さも分かる様になってきた。
奈良の実家を出るまでの30年弱の期間で、京都に遊びに出かけた回数は数えれるほどしかない。
もったいないことをした。もっと遊びに行っておけば良かった。こういうのは失って初めて気が付く。
京都の持つ奥深さ
物欲がなくなってから、古都をめぐる
京都は散策していて楽しい。まずはここがデカい。
爪で火を灯す、もはやキャンプファイアーを起こすほどの、倹約生活を行う中で、物欲が徐々に消えてきた。
昨年末にヨーロッパ流のライフタイルを目指すことにした。
- モノや服は最低限しか持たない
パリも賃貸物件は、そもそも収納スペースが少ない - お金は食事やアート・音楽鑑賞に使う
- バカンスに行くなど経験を重視する
ここを遵守することで、僕はパリジェンヌになれる。男なんだけど、男性版を指す言葉を知らないので、パリジェンヌとあえて名乗りたい。
今年は部屋着やトレーニングウェアを除いて、服をほぼ買っていない。スニーカーも大好きなんだけど、一足も買っていない。
モノを買わないというライフスタイルが板についてきた。このあたりで僕の感覚が少しづつ変わっていることを実感する。
モノを買わないという前提があると、休みの日にショッピングという選択肢が消える。
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散歩するなら京都がベスト
こうなると休みの日にすべきことは体験に変わる。
- 運動
ランニング、格闘技 - ブログを書く
- 小説を書く
- 映画を観る
- 散歩をする
- 昼寝をする
- 読書をする
- ノートに考えをまとめる
運動や、コンテンツ鑑賞、内省。こういったことの比重が自然と増える。
それにつれて、風景がキレイだったり、情緒のある街並みを歩くという娯楽が、むくむくと顔を出してくる。
そう、散歩。この太古からある歴史のあるエンタメが、最も活きる場所は京都かもしれない。
平坦で歩きやすい。急な坂もなく、体に優しい。整理された街並み。RPGであれば、ものすごくユーザーフレンドリーなマップである。
京都の街には広告が少ない
整えられた色彩もまた京都の持つ蠱惑的な要素のひとつ。コンビニ、マクドナルドなども、京都の景観を乱さない様に、落ち着いた色合いに変更されている。
アメリカや日本が誇る巨大チェーン店の、マーケティングやデザインも、京都の侘び寂びに屈している。
記憶に残りやすいロゴは、3色以内というのが相場らしい。マクドナルドだってスタバだって、含んでいる色は3色以内。
しかしそんなロジックをも上書きする魔都が京都。歩いていてストレスがない。
また京都を歩いていてもストレスを感じづらい。大阪と比べても明確な差があって、それは圧倒的な広告の少なさ。
アジアの大都市は総じて広告だらけ。パリなどの街では広告はかなり少ない。
すっきりしている。一方で、フリー素材で、「大阪 難波」と検索をしてみた。
電通や博報堂の企業努力が垣間見える。こういったストレスを少なく街を散策できる。
忙しい現代人の心を癒してくれるのが、京都なのかもしれない。
京都の文化は面白い
俺は、新撰組、箱推し
京都は数多くの文化がある。歴史がある。日本の歴史を語る上で、京都を抜いて語ることは絶対にできない。
京都の歴史の中において、特に僕が好きなのが、新撰組。
2004年に大河ドラマでやっていた「新撰組」。脚本は三谷幸喜。小学校高学年だった僕はとにかくハマった。
ここら辺から新撰組は僕にとって、ちょっと特別な存在。歴史の狭間を体現する悲哀に満ちた存在で、とにかく僕を魅了して止まない。
ただ新撰組を快く思わない人が一定数いるのも分かる。僕の父もまさにそうで、新撰組アンチ。
「日本の歴史において、邪魔になる存在」というのが、アンチ側の捉え方らしい。確かにそれもそうで、開国にあたり、それを妨げていたのが新撰組だった。
日本の歴史を見ると、悪という扱いになるんだろう。でもそれは結果論で、新撰組なりのロジックや正義があったと僕は見てる。
新撰組は20代で、歴史を変えた
写真は京都の壬生寺。新撰組が大砲や剣術・馬術の訓練をした場所でも有名。
ドラゴンボールの亀仙人ハウスとか、精神と時の部屋みたいな感じ。ここでレベルアップ。
新撰組の初期メンである近藤勇や土方歳三、亡くなったのが30歳前後。亡くなったのがこの年齢なんだから、新撰組を築き上げ、活躍したのは20代。
その年齢で、日本を揺るがす存在だったって時点で、快挙も快挙。矢沢永吉が「20代で苦労した者だけが30代で夢の世界を見ることができる」って言ってたけど、20代で夢の世界を見ていたんだろうか。
しかも全盛期でさえ、たった200人なのだ。現代で200人の会社で、この規模のインパクトを与えることなんてできやしない。
32歳になって、会社の固定給をあてにして、事なかれ主義を決め込み、「静かな退職」を発動させている自分。新撰組をディスることなんて、できるわけがない。
仮に新撰組が悪だったとしても、かなり魅力的なヴィランであるとさえ言えると思う。
どんなエンタメでも、カリスマ性を発揮している悪役には、必ず哲学がある。悪役なりの正義がある。
新撰組のルールは絶対で、破ったものは、即切腹。ハラキリ。
局中法度という名前で、「勝手に金策いたしべからず」というものもある。
平たくいえば、勝手に借金なんかしちゃダメよって内容。つまりお金をこっそり借りたら、ジエンド。厳しすぎる。
しかしここもドラマがあって、切腹は武士のみに許されたもので、新撰組に入れば身分に関わらず、武士として生涯を終えることができる。一本筋が通ってる気がする。まぁ当事者はたまらんやろうけど。
そう思うと新撰組、申し分なし。人生で一度も推し活に興じたことないのない自分でも、新撰組を箱推ししてしまいそうになる。
新撰組は井上雄彦のマンガくらい、キャラが魅力的
また新撰組のキャラも良い。井上雄彦が決めたんっすかってくらいにキャラが立ってる。
沖田総司なんて最高やん。天才的な剣士。しかし病弱で、結核で早逝。マンガかよ、少年ジャンプかよ。
北斗の拳のトキなんて、ほぼ沖田総司やないか。人間の存続をかけ神様と人間が戦うという「終末のワルキューレ」ってマンガがある。
ここで人類代表の一人として戦いに参戦するのが沖田総司。うーん、痺れる。もはやスマブラにも出てほしい。
新撰組にまつわる小説も名作が多い。特に琴線が刺激されたのが、「燃えよ剣」。土方歳三が主人公、文豪司馬遼太郎の作品。
新撰組×司馬遼太郎。面白くないわけがない。タランティーノ映画に、ブラピが主演するくらいの安心感がある。
この「燃えよ剣」の史実に基づいた最後も非常に良い。徳川家のために最後まで仕えるものの、最後は徳川家に見捨てられる。厄介払いされてしまう。
トカゲの尻尾切りをされてもなお、戦い続ける新撰組。優秀で熱意もあるけど、無能上司の元に仕えた、ブラック企業の20代若手社員みたいな、悲哀や憐憫を感じる。
池田屋事件
1864年に起こった、池田屋事件。京都三条にある池田屋に潜伏していた長州藩・土佐藩などの尊王攘夷派志士を、新選組が襲撃した事件。
新撰組の代名詞とも言える事件。ここで数多くの血が流れたのだ。
なんとこのお店は現代居酒屋になってる。当時は旅館だったが、今は飲食店。
事実だけ見れば、人が多く斬られ、血が流れた。物騒極まりない場所。
重犯罪<新撰組。過去の血生臭い騒動も、新撰組というラベルがつけば、観光名所になってしまう。
BAD HOPのT-Pablowが「チンケな溜まり場ですらも、俺がラップすれば観光名所」って言ってた。これの幕末版。
京都は他にも魅力がたくさん
京都が舞台の小説を読もう
京都を語る上で、他にも切っても切れないのが、小説。
万丈目学。森見登美彦。この2人はぜひ読んでほしい。京都に行きたくなる。
オススメの京都小説
- 燃えよ剣(司馬遼太郎)
- 夜は短し歩けよ少女(森見登美彦)
- 四畳半神話大系(森見登美彦)
- 鴨川ホルモー(万丈目学)
- 金閣寺(三島由紀夫)
ここは僕の神5。京都に行く機会がある人は、事前に読んでおいてほしい。
大学生を主人公にした小説も多い。京都には38もの大学・短大があるらしい。そら多くもなるわ。
大学のモラトリアム期間を、京都で過ごしておけば良かったと今になって思う。
FIRE達成した暁には、京都で一人暮らしをしたい。鴨川の側にあるスタバでバイトをしたい。
年末に友人と京都を訪れ、鴨川を望みながら、コーヒーと抹茶ドーナツを食べた。勝ち組すぎる。
一人で訪れることがあれば、買ったばかりの文庫本なんぞを持っていこう。勝ち確演出が見える、これ以上人生で何が必要というのか。
金閣寺と銀閣寺
読んでほしい小説でも名前を載せた、金閣寺。1950年に一度燃えたものの、今でもそびえ立つ。フェニックス。
日本史の授業で知ってはいたけど、実際に目にすると、ビビる。「金ピカやったらカッコええやん、素敵やん」という中学生男子的な発想を、マジでやってしまった建造物。
田舎のヤンキーでも、EXILEの、黒と金の配合スウェットで満足してる。金の割合なんて2割くらい。足利義満は、どヤンキーである。
対をなす存在の銀閣寺。こちらもまた良い。僕は中学生の脳みそのまま大人になったから、金閣寺の方が好きだけど、銀閣寺もまた渋いと思う。
「金閣寺よりも銀閣寺だよね」って言う人は、大人だと思うし、センスを感じざるを得ない。
好きな女性のタイプを聞かれて、椎名林檎ですって答えるくらいの、鷹揚さを感じる。
ラッパーのT-TANGGは「金閣寺よりも銀閣寺、いまだに聴いてるスヌープ、D.O.ダブルG」と言ってた。渋すぎる。
歴史、観光名所、ロマン、この世の全てがここに置かれている。ゴールドロジャーもびっくり。ラフテルは意外と京都なのかもしれない。