好きなことで生きるのは楽じゃない!
以前にもライフスタイルに関して、記事を書きました。
色々なライフスタイルがあるかと思いますが、今回は「ラッパーというライフスタイル」について書いていきます。
ラッパーはいばらの道、だけど戦うのだ力の限り!
ラッパーとは
ここで、言っておきたいのは僕の言うのは、いい車に乗ってビキニギャルをはべらせて、ゴールドのアクセサリーをじゃらじゃら着けてお金の風呂に入っているというものではありません。
それは、あくまで一部です。
アメリカのある程度売れている層くらいなものです。
日本ではほとんどいません。
そもそも日本とマーケットの大きさが違いますから、仕方ないことではありますが。
アメリカで最も稼いでいるラッパーの1位はDr.Dreで約620億円だそうです。
圧倒的すぎるやん・・・
日本では、色々聞いたり調べてみる限り、そもそも稼ぐどころかそれだけで生活している人もほんの一握りだそうです。
しかも、日本で最も稼いでいるラッパーでもおそらく上場企業の役員くらいなはず。(2000万~3000万円くらい!?)
サラリーマンよりも遥かに分が悪い様です。
以前のミステリオの話でも書きましたが、知名度があって、実力があってもそういう状況の様。
「好きなことで生きるのは楽じゃない」ってことを痛感します。
日本のラッパーで現状は、本業があり、副業として音楽活動をおこなっている人が大半。
ステージの上では向かうところ敵なしの人でも、ひとたび舞台を降りると居酒屋の兄ちゃんだったりするわけです。
先日ライブに行ったGADOROも
今はみんなが喝采を送ってくれているが、このライブが終われば一般人と何ら変わらない。
と言っていました。
HIP HOPイベントやライブにここ1年くらいよく行っている中で、感じたことがあります。
それは、「日曜日に多いよな」ってこと。
あとは平日の深夜にもたまにやっています、こちらは参加したことないですが。
めっちゃ盛り上がった後、「明日仕事面倒だぜ、土曜日にしてくれたら良いのに。」って最初は思っていました。
ところが、気付いたんです。
土曜日にしたくてもできないんだって、だってラッパーの人で土曜日に仕事ある人もいっぱいいるからって。
飲食業をはじめとしたサービス業をしている方も多く、土曜日は勤務日である人も多いのかなと。
週6で働いて、唯一の休みの日曜日にライブやったりバトルしたりしているという方も多いはず。
これは、本当に好きでないとやってられないですよね。
Zeebraの代表曲「Street Dreams」で、
道半ば あきらめた奴ら
ハード過ぎて箸投げた奴ら
都会に飲まれた奴ら
今じゃ連絡も途絶えた奴ら
というリリックがありますが、心の底から好きでないと淘汰されていくのかもしれません。
そのせいか、イベントなどで見たり、会ったりするラッパーはみんな目が生き生きしています!
輝いていると言ってもいいかも。
黄猿はHIP HOPだ!
毎年行われるフリースタイルバトルの大会で「KOK」というものがあり、鎖グループが各出場者の紹介VTRを作成し、Youtubeにアップしているのですが、これが面白い。
人となりというか、その人の人間性が見えてくる。
この中で、最も心揺さぶられたのが黄猿というMC。
もともとバトルでは有名なラッパーで、独特のビートアプローチを武器としており、フロー(ラップする時の緩急のつけ方)が抜群にうまくシーンを代表する存在です。
実際数多くの大会で好成績を残しています。
特に有名な試合が、鎮座ドープネスというMCとのバトル。
そもそもKOKには本選と予選があります、この予選もなかなかの激戦。
ここで一位にならないと本選にはいけないのですが、かなり名うてのバトルMCがわんさか予選から出てきます。
つまり、本選にコマをすすめただけでもかなりのレベルなわけです。
甲子園に出場できたみたいな感覚と言えば分りやすいかもしれません。
黄猿もかなりの実力派で、やはり本選の出場枠を獲得します。
そんな彼のVTR。
どうですか、泣けないですか?
かなり肩入れしそうになりませんか?
2018年年始の大会で既に結果は出ています、黄猿は優勝はできませんでした。
僕は2017年末頃、これを見てかなり衝撃を受けたのを覚えています。
この「日本語ラップ強化月間」の機会にもう一度見直しました。
2017年は新入社員の時期で、お金の知識だったり、働いて生活するということがまだまだ分かっていませんでしたが今はかなり刺さりますね。
しかも、この時の黄猿は今の僕とほぼ同い年なんですよね。
週6の昼夜が逆転した就業、年間休日は50日程、この生活を10年弱。
そして、その中でラッパーとして牙を磨いてきているのです。
僕の考えるHIP HOPって結構こっちだと思うんです。
決して羽目を外したり、豪遊したりするわけではなく、日々をがむしゃらに生きながら、自分の本当に好きなことを追求していくというライフスタイル。
そして、その自分の生活の中で見えてきた景色や思いを血肉とした作品を作るわけです。
黄猿のこのVTRを見た時に、僕の感想は2つ。
大変そう、報われてほしい!
そして
羨ましい!
自分の人生は自分で決めねばいけない
自分の人生でこれだけのめり込めることがある人生って、正直まぶしいです。
今読んでいる小説で「終わった人」、まだまだ冒頭なのですが、やり手の元銀行員、しかし役員目前で出世ルートから外れ子会社へ転籍。
そのまま勤め上げ、定年退職。
仕事一筋の人生だったのに、急にすることがなくなり、途方に暮れてしまうというもの。
正直これを読んでいると、会社が嫌いな僕も「会社行けるだけ、まだよかったかも」と思えるほど。笑
何もすることがなく日々を過ごすのはかなり辛そうです。
これは自分で選んだ人生が、他人が選んだ人生の違いですね。
企業での出世や人事は全て他人が決めている
という旨の表現もありました。
自分の生活・人生をそこまでささげられる程、自分の人生の中心に据えれるほど熱狂できるものがあるだけでいわゆる「勝ち組」なはず。
日本のHIP HOPシーンを知らない方に言いますが、資本主義や金儲け主義とは大半が無縁なのです。
まとめ
金が儲かるからと売れ線の他人が作った曲を歌う歌手と、好きだからという理由でのめり込み自分の言葉で物事を語るラッパーはどちらが本当に優れているかは一目瞭然。
少しでも興味があれば、食わず嫌いなどせずに聴いてみて下さい。
僕らが聴くことでシーンの裾野は広がっていく!!
ではでは!