サイファーって知っていますか?輪になって、インストのビートを流し、それにあわせて即興でラップするという遊びです。
ラップのフリースタイルバトルで活躍している有名なラッパーでも、サイファーで腕を磨いたという人も数多くいます。ラップを聴いている人で、このサイファーの存在を知らない人ってほとんどいないはず。
僕も日本語ラップが大好きで、もうかれこれ6,7年は聴いています。ただ一度もサイファーに行ったことはなかった。お金もかからない遊びなのに、なぜ?
ラップは聴くもので、するものと思っていなかった。あとなんとなく、緊張しそうだから。。。
はい、非常に消極的な理由です。そんな僕ですが、このたび生まれて始めてサイファーに参加してきました。結論から言うと、めちゃくちゃ楽しかった。というか、ラップが下手でも、初心者丸出しでも、誰も怒らない、みんな優しい。
・サイファーに興味はあるけど、緊張するから行ったことはない
という人にむけて書きました。
最初に結論から!
- ラップが上手くなりたい
- サイファーに始めて参加、めちゃくちゃ楽しい、下手でもバカにしてくる人はいない
- 興味があることならチャレンジしてみるべき
ラップが上手くなりたい
誰しも子供の頃にはなりたいものがあった。野球選手になりたい、サッカー選手になりたい、医者になりたい、社長になりたい、大金持ちになりたい。しかし大人になり、酸いも甘いも分かってきて徐々に現実を知り始めるんですね。
大人になると、「◯◯になりたい」ってあんまりなくなってきてしまう。「資格とりたい」とかはあるでしょうが、この「◯◯」の部分に職業が入ることってもう無くなってきてしまいました。
しかし言いたい、今28歳、年ではないが、理想論を言えるほど子供でもない。そんな僕が言いたい。
そう、僕はラッパーに対して憧れがハンパないんです。6,7年前に日本語ラップにハマりだして、そこから聴かなかった日ってたぶんほとんどないかも。それくらいにどっぷり首まで浸かっているんです。
僕みたいな日本語ラップの楽曲やフリースタイルバトルが好きなファン(ヘッズって言います)にとってはあるあるなのかな。ラップはめっちゃ好きだし、毎日触れているけど、する側には回らないんですね。
誰から決められたわけでもないのに、「ラップって聴くもので、じぶんでするものじゃやないよね!?」って勝手に思い込んでしまっているんです。自分で自分の限界を決めてしまっているわけです。
ライブとかバトルとかを現場で見ると、ステージのラッパーは輝いて見えるわけです。これだけ観客を盛り上げれるなんて、最高に幸せだろうなって思うんですね。常人が人生かけて出すアドレナリンを、一日で出しているんじゃないだろうかって錯覚するレベル。
僕もラップが上手くなりたい。人の気持ちを昂揚させるようなラップがしたい。
僕がラップを好きになるきっかけをくれたのは、日本語ラップの先駆者RHYMESTER(ライムスター)でした。一番左のMummy-Dさんが「ザ・グレート・アマチュアリズム」という曲で、名パンチラインを残しています。
韻踏んじゃったら お前もライマー
そうです、ラッパー・ライマーは完全に自己申告制。免許や認可はありません。「日本語ラップ専門学校」とか、「日本語ラップ教習所」なんてものはないのです。
叶美香でし◯ったことある奴 だいたい友達
ふぅ、これでおれもライマーだ。今まさに韻踏んだしな。ネット上に残るから、エビデンスとしてもばっちりやで。
さて唯一にして最大の問題は、どうすればラップが上手くなるか。もうこれだけ、というか最初からこれだけ。
サイファーに興味はあったけど、、、
自慢じゃないですが、僕は頭は悪くないと勝手に思っています。小学校の時に、みんななが通信教育の進研ゼミをしていた中で、僕だけZ会をしていたんですから、頭が悪いわけがありません。
「こち亀が200巻で完結する」という予想を、完結する2年以上前から予言していました。そんな僕です、頭が悪いわけがありません。ちなみに予言しましょう、「ハンターハンターは一生終んないです」、たぶん当たるはず。
そんな僕が考えました、どうすればラップが上手くなるのか。こんなん一瞬です。
はい、間違いないでしょう。ここで思考は止まりませんよ。
お、いいですね。だって人の気持ちを昂揚させるラップがしたいんですもんね。最終は人に見てもらいたいわけです。だったら早いうちに見てもらってて、緊張感とか気恥ずかしさは払拭した方が良い。
まだまだ終りません。Z会で鍛えられた僕の脳みそはフル稼働です。
サイファーを知らない方に説明しますね。 輪になって、インストのビートを流し、それにあわせて即興でラップするという遊びです。
集まって、みんなで即興でラップをしていく、そんな取り組みです。全国各地で、ラップ好きの人が集まって、開催しています。有名なところで言えば、バトル王者のR指定なんかも大阪梅田のサイファー出身です。
ちなみに、R指定の元相方のラッパーKOPERUは、このサイファーを
全くもってどうなるか検討もつかない
路上 ドーナツ化現象
と表現しています。上手いですね、トンチが利いている。
基本的に参加費は無料、初心者歓迎の、非常にピースフルな遊びです。大人が東京で、お金をかけずに、長時間遊べる、素晴らしい。
ここで腕を磨くラッパーも多い。このサイファーを経て、人気ラッパーになった人も数知れず。このサイファーに参加する。これは非常に合理的な判断です。
そうです。緊張するんです。上手くなりたいなら、サイファーに行けば良い、そんなん百も承知。ラップ聴き始めて、日が浅い段階でも知っていました。ただなんか恐い、緊張する。
「分かるとできるは違う」、 サイファーの存在も知っている、行けば上手くなることも分かる。でも韻ではなく、二の足を踏んでいたんです。そう、あの日までは!
上野に人生初サイファーに行ってみた
上野にある老舗のHIP HOPのCD・DVDショップである「キャッスルレコード」。僕が上京してから定期的に通っていたお店で、実際にCDもちょくちょく買っていました。
そんなキャッスルレコードですが、2021年3〜4月で場所を移転することになったのです。上野のセンタービルから、湯島のドンキホーテ横にお引っ越し。
移転前の最後の週末ということもあってでしょうか。店長のG.OさんがSNSで、「上野センタービル前でサイファーします!」と呼びかけたのです。
4月から大阪に転勤が決まっている僕。東京で最後に思い出を作りたい、「未体験のことを10個する」と年始に目標として決めた、そして何よりラップしてみたい。
そう思い、いざ上野へ。重かった、僕の腰はめちゃくちゃ重かった。何年も興味があって、やっとこさ動いたのですから。Now or Neverだ、今しかない。
スタートはキャッスルレコードの営業が終る20時30分から。緊急事態宣言もあり、20時には飲食店は閉まっています。道に人は少ない、みんな帰る時間ですね。
しかし集合場所の周りには、HIP HOPテイストを感じさせるファッションの人達がチラホラ。まだ始まっていないみたいで、僕も待っていました。
隣の男の人が「サイファーに参加されるんですか?」と話しかけてきます。「そうです。」と返事し、少し喋っているとさらに人が集まりはじめます。ほとんど男、たまに女子。
そう、後からも分かるのですが、10代の参加者も結構多かったんです。上は40代くらいまでいたのかな。年齢層は結構広め。
そして、キャッスルレコードでも働いているラッパーの椿さんが、CDプレーヤーを持って登場。みんなに呼びかけ、サイファースタート。
椿さんは生で始めてみましたが、映像で見ているよりも美人でした。ビッガップ。
20~30名くらい参加者がいたと思います。まずは全員で大きな輪になり、一人ずつラップして、その後小さな輪になって遊ぶって感じ。僕は大きな輪でほぼ最後にラップ。
そう、上手い人が多い。たぶん僕が一番下手でした。小さな輪になってラップしたのですが、ありがたいことに、僕みたいな初心者も後何人かいて、非常にやりやすかった。ホームな雰囲気。始めてサイファーに行く人は、同じような初心者を探すか、「自分は初心者です」とちゃんと周りに言うのがオススメですね。
実際に参加してみて、ラップが下手でもバカにされないということが分かりました。実際にラッパーも多く参加していました。フランケン、スナフキン、喰吐、T-TANG、SHJ(敬称略)など凄腕のラッパー達も数多くいました。
本当に上手い人は自信があるのでしょうか。僕がド下手なラップをしていても、全然笑わないし、攻めない。そして良いラインとか、上手く決まった時は反応してくれる。これってありがたいですね。最初の最初で冷たい対応されたら、心ばきばきになってしまう。
僕は、SHJさんと一緒にサイファーしている時間が長かったです。バトルではバチバチなSHJさんだったのですが、実際に一緒にサイファーしているとめちゃくちゃ穏やかな人でした。
そして、実際にバトルシーンで活躍しているMCの人と一緒にラップしていると感じるのが、ハチャメチャな上手さ。ラップが上手い、ビートアプローチが上手い、韻も常に踏んでいる、ラップのスタミナが切れない。
スゴいです、神業です。こういうのを生で感じるだけでも参加した甲斐があるってモンです。「のりにくいビートだぜ」みたいなことをみんなが言っていても、僕は「逆に自分が上手くのれるビートがないから、何でも変わらんぜ」って感じ。ある意味最弱、ある意味最強。
しかしラッパーは慣れもあるのでしょうが、頭の回転が速い。僕みたいな初心者はラップしながら、次に言うことを考えるなんてまずできない。練習あるのみなんでしょう。
塾講師のアルバイトをしていた際に、勉強は苦手だけどひょうきんな生徒がいました。その生徒が「犬猿の仲」を謝って読んだことがありました。それを見た他の生徒が、僕に
この返しに塾は湧きました。くそぅ、自分は頭の回転が速いって思っていたのに。ラップになるとまだまだだぜ。
実際にラップしてみると、フリースタイルラップの難易度の高さが分かります。でもそれ以上に、奥深さ、面白さも分かるんです。やってみないと分からない。見ているだけじゃ掴めない感覚なんですね。
とにかくこれからは、バトルを見て、やれ「ありきたりな韻ばっかり」とか、やれ「フロウがない」とか、やれ「ビートアプローチがあんまりだ」とか言わない様にします。おれ全くできんし。
結論から言うと、最高に面白かったんです。気付いたら夜の23時30分。3時間も熱中していました。もっとやっていたかった。そしてもっと早くサイファーやっておけば良かった。
これは僕が苦し紛れに出したラインだったのですが、SHJさんにめっちゃ褒めてもらえました。嬉しい。そしてもっと上手くなりたい。もっと上手くなって、同じ輪の中の人を盛り上げたい。
とりあえず飛び込めば何か開ける!
サイファーに参加してみて、感じたのは非常に月並みで、どんな分野にも言えることでした。「飛び込んでみれば、得られるものがある」ということです。
今まで勝手にビビって、「初心者は肩身が狭い」とか、「下手だから人前でラップするのは恥ずかしい」と勝手に自分で殻にこもっていたんですね。これは非常にもったいなかった。
案ずるよりも産むが易しって話です。ずっと興味があっても、自信がなかったり、上手くいかない姿をイメージして行動できない人って多いのではないでしょうか。勿体ないですね。早くチャレンジした方が、恥をかいても、結果的に理想の自分に近付けるのですから。
ラップ上手くなりたいなぁ。大阪に帰っても、サイファーがあったら参加しよう。初回と言う最大の難関を超えたから、今度からは楽勝でしょう。
「始めた時点で、半分終ったのも同じだ」みたな言葉も聞いたことがあるのですが、これも当たっている気がしますね。人間何かを始めるのに、一番エネルギーがいるんです。いざ始めてしまえば、後は勢いにのってきますしね。
大阪を代表するラッパーSHINGO★西成がライブで、盛り上がる曲をする前のMCで、
と言って会場は大熱狂。俺もラップが上手くなろう。そしていつか5秒だけでも、ストーンズを超えてみよう。ストーンズと言っても、「SixTONES」じゃない、「The Rolling Stones」だ。待ってろミック・ジャガー。
【関連記事】キャッスルレコードに行ってみよう!
僕みたいな日本語ラップのヘッズが絶対に行くべきお店が、「キャッスルレコード」。場所は移転しましたが、新しくバー営業も始めるそうです。
今よりもっとヘッズの憩いの場になるんでしょう。 是非訪れてみて下さい!
【関連記事】HIP HOPとラップに関して
ラップやHIP HOPに興味を持った方はこちらも読んでみて下さい。
という人も読んでみて下さい!
まとめ
では、最後にもう一度この記事をまとめます。
- ラップが上手くなりたい
- サイファーに始めて参加、めちゃくちゃ楽しい、下手でもバカにしてくる人はいない
- 興味があることならチャレンジしてみるべき
って思ている人は是非行ってみてほしい。絶対に後悔しないから。僕と同じくサイファー初参加の人も全員「めちゃくちゃ楽しかった」って言ってたから。
この記事を読んでくれたあなたと、いつか、どこかのサイファーで一緒にバースをキックできたら最高ですね!
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この記事が面白ければ、是非他の記事も読んでいって下さい。貴重な時間を頂きありがとうございました。ではでは!